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【遺伝?環境?】子どもの発達障害の原因として考えられる12のこと

「発達障害の原因は遺伝?それとも環境?」

「発達障害にならないためにはどうすればいいの?」

発達障害はさまざまな要因が絡み合って発症します。

ただ、大きく分けると発達障害の原因は2つです。

それは「遺伝」と「環境」です。

ただ、「遺伝」は自分でどうにかできる問題ではありません。

ですので、仮に発達障害を発症しないように可能な限り予防したいのあれば、環境的なリスク要因を知ることで、意識的に対策したり、未然に防いだりすることがある程度できます。

ですが、発達障害は基本的に「遺伝」と「環境」の2つの要素が相互に作用することで発症します。

また、環境的な要因は実にさまざまです。

(発達障害の種類によっても変わってきます。)

ですので、原因を100%特定することはできません。

(また、すでにお子さんは発達障害と思われるのであれば、原因を特定するより、必要なところを改善することにフォーカスするべきだと個人的に思います)

ですが、発達障害が発症しやすいとされている原因を知っておくことで、発症障害を予防できるケースもありますし、今以上に症状がひどくならないよう対策することもできます。

そこで、今回は比較的多くの研究で報告されている子どもの発達障害の12の原因について、わかりやすく解説していきます。

また、ここでご紹介するものは発達障害にかからず、学力を下げたり、子どもによくない影響を与える要因にもなりうるものですので、子育てや育児、教育に携わる方や興味関心がある方にもぜひチェックしていただけると幸いです。

【発達障害は遺伝の影響を受ける…】
遺伝における発達障害の3つのリスク

発達障害は遺伝の影響を受けることがわかっています。

(ただ、遺伝の影響だけで発症することは基本的になく、環境的な要因と相互に作用することで発達障害になるケースが多いです。)

発達障害と遺伝についてここでは以下の3つについてご紹介します。

①遺伝的な影響

②父親の高年齢化

③母親の高齢出産

それぞれのポイントについて、もう少し詳しく見ていきましょう。

①遺伝的な影響

発達障害の要因の一つに遺伝があります。

近年の研究を踏まえると、ADHD(注意欠如・多動症)の遺伝率は約80%とされています。

(これは身長や知能指数(IQなど)の遺伝率とほぼ同じとされています。)

また、自閉症スペクトラム症の遺伝率は約50%とされており、これは体重などの遺伝率と近いとされています。

※発達障害の遺伝率は研究によっても数値が厳密には異なり、研究者の間で議論がおこなわれているので、ここでご紹介した値は絶対に合っているというわけではありません。

ですが、目安としては大きなズレはないので、この程度の遺伝率があることをまずは理解しておくことが大切です。

②父親の高年齢化

発達障害のお子さんが生まれやすくなる要因のひとつに「父親の高年齢化」があります。

(母親の高齢出産が発達障害のリスクを高めることは以前からさまざな研究で指摘されています。)

つまり、結婚して、お子さんをつくるときに父親となる男性が高年齢だと、その分、生まれてくる子どもが発達障害になりやすくなるというものです。

なぜ、父親の高年齢化が発達障害のリスクを高めるかというと、男性は長い間、環境汚染物質や電磁波にさらされることで、それが蓄積し、精子の遺伝子の変異につながると指摘されています。

また、さまざまな研究を踏まえて、総合的に判断すると45歳が一つのラインになります。

そのため、まだ可能な方であれば、45歳までにお子さんをつくることを推奨します。

③母親の高齢出産

一昔前までとはちがって、女性も仕事をして、自分のライフスタイルを考える時代となりました。

そのような背景や他のさまざまな要因が重なり、女性の晩婚化などが進んでいます。

また、それにともなって、女性の高齢出産もよく見られるようになりました。

ただ、父親の高年齢化と同様に、女性の高齢出産は発達障害のリスク要因のひとつとなります。

ですが、実は40歳前後で出産した場合のお子さんは知能が高いという研究報告もあります。

(そうすると、何か正しくて、どれを選ぶべきなのか難しいですよね…)

ただ、ダウン症なども高齢出産がひとつのリスク要因として挙げられています。

ですので、女性の高齢出産はプラス面とマイナス面の両方があることを理解し、あらかじめ想定しておくことが大切になります。

【妊娠中の生活習慣も大切!】
妊娠中の喫煙やスマホもリスクに…

発達障害は妊娠中のお母さんの過ごし方や生活習慣も発達障害に大きな影響を与えます。

そのため、今現在妊娠中のお母さんやこれから子どもを作ろうと考えている方は以下の2つの点に特に気をつけましょう。

④妊娠中のタバコは避ける

⑤妊娠中のスマホはほどほどに…

では、それぞれの点について、もう少し詳しく見てみましょう。

④妊娠中のタバコは避ける

妊娠中のタバコは発達障害のリスクを高める要因として指摘されています。

例えば、妊娠中にタバコを吸うことで遺伝的な要因がなくても通常の1.3倍ほど、生まれる子どもがADHDになる確率が上がるとされています。

また、もし遺伝的な要因があった場合、妊娠中にタバコを吸うことで、ADHDの発症確率は約3倍高まるとされています。

その他にも妊娠中のタバコは自閉症スペクトラム症のリスク要因にもなります。

(ADHDの発症要因にはなりませんが、それでも控えるべきです。)

また、妊婦さんご自身が吸わないとしても、受動喫煙で発症リスクは高まります。

ですので、なるべく喫煙所やタバコの煙が充満している場所は避けることが大事になります。

(もし、お父さんがタバコを吸っている場合、奥さんとこれから生まれてくるお子さんのためにも禁煙することが理想ですが、それがむずかしい場合は、煙がぜったいに届かない位置で喫煙するようにしましょう。)

⑤妊娠中のスマホはほどほどに…

妊娠中にスマホを使いすぎると、生まれてくるお子さんの発達障害のリスクを高めるという研究報告もあります。

2010年頃から、特にADHDのリスクを高めるとされ、注目されています。

これは、妊娠中にスマホから出る電磁波を浴びることで幼児の発達が阻害され、生まれてくる子どもの発達障害的な症状がみられるようになるというものです。

ですが、これはまだ科学的に信頼性の高いものではないのが現状です。

ただ、現代ではスマホをはじめ、無線LAN(※)なども張り巡らされているので、それがお子さんの脳の発達に影響を与える可能性はあってもおかしくありません。

※スマホと無線LANは同じ周波数帯域になっています。

ですので、過剰に注意する必要はありませんが、長時間スマホを使用する習慣がある方や発達障害が発症するリスクをできるだけ下げたいという方は、必要最低限の使用にしましょう。

【発達障害が人工的に作られることも…】
発達障害のリスクを高める出産と子育て

発達障害は遺伝的な要因がない場合でも、出産方法や子育て、非科学的な幼児教育によって発達障害的な症状が”つくられる”ことがあります。

そのため、出産~育児ではまず以下の7点を気をつけましょう。

⑥できるかぎり”自然分娩”

⑦半年以上は母乳で育てる

⑧母子のスキンシップ

⑨夫婦間の不仲・離婚

⑩子どもの食事も大切

⑪スマホやタブレットを避ける

⑫非科学的な幼児教育

それぞれの点について、もう少し詳しく見てみましょう。

⑥できるかぎり”自然分娩”

実は、出産方法も発達障害と関係しています。

もし、発達障害がお子さんに発症する可能性を少しでも下げたいのであれば、”自然分娩”をできるかぎり選択することを推奨します。

とういのも、帝王切開や誘発・促進分娩などの「非自然分娩」は、発達障害のリスクを高めるという研究報告がなされています。

(特に自閉症スペクトラム症の可能性を高めると報告されています)

ただ、さまざまな事情で自然分娩ができないケースもあると思いますし、一番はやはり母子ともに無事に生まれることが大事だと思います。

ですので、仮に非自然分娩でも、可能であれば出産後1時間以内には、生まれが赤ちゃんを肌の上で抱くことが大切です。

そうすることで、愛情や共感を高め、育児をする上で必要な「母親脳」が形成されます。

この母親脳は虐待防止などにも必要ですので、しっかりと母親脳を形成させるためにも出産後1時間以内には肌の上で抱いてあげるようにしましょう。

⑦半年以上は母乳で育てる

赤ちゃんが生まれてから最初に与える栄養として「母乳」があります。

実は母乳は発達障害のリスクを下げる役割があります。

ただ、母乳を与える上で以下の2つの条件はしっかりと守るようにしましょう。

✓ 半年以上は母乳を与える

✓ オンデマンド授乳

まず、母乳のよさは半年以上、つまり、24週間以上、しっかりと与えることが必要です。

また、それと同時に「オンデマンド授乳」といって、赤ちゃんが母乳を飲みたいときに授乳できるように準備しておくことが大切です。

このようにして母乳を与えることで、そのお子さんが自閉症スペクトラム症になる確率は半分以下に減ると言われています。

母乳は発達障害のリスクを下げるだけでなく、その他の脳の発達にもプラスの影響をもたらします。

母乳で半年以上育てることでIQなどの知能も向上します。

(実際、人工ミルクに比べて少年時で5~10ポイント高いというデータもあります。)

また、この効果は成人になっても続き、近年では母乳で長く育てられた成人ほど高学歴で年収も高いというデータも出ています。

ちなみに、母乳のなかでも特に重要なのが「アラキドン酸」という脂肪酸です。

そのため、どうしても母乳を与えられない場合は、アラキドン酸を含む人工ミルクを与えるようにしましょう。

⑧母子のスキンシップ

胸のあたりで赤ちゃんを抱え、アイコンタクトをとったり、笑いかけ得たり、語りかけたり、キスをしたり…

このような母子の密なコミュニケーションは、脳の発達にもよく、発達障害のリスクも減らします。

もちろん、1年中ずっと赤ちゃんを抱きかかえることは不可能ですが、生後1年は特に意識をして、可能なかぎり赤ちゃんのそばにいてあげましょう。

ハイハイなどで、少しずつ動ける範囲が広くなれば、そのときはめいっぱい遊ばせて、泣いてしまいそうなときや不安そうな表情をしているときは抱きかかえてあげましょう。

⑨夫婦間の不仲・離婚

夫婦の間が不仲で日々口論をしていたり、喧嘩ばかりしていると、それが子どもの脳に悪影響を及ぼし、発達障害のリスク、特にADHDになるリスクを高めてしまいます。

(離婚なども同じです)

思春期の中高生でも、夫婦間の不仲などに悪影響を受けるので、脳がもっと変化しやすい乳幼児期はより影響を受けやすいと考えられえます。

また、DV(家庭内暴力)がともなうと、子どもが学習障害(LD)の可能性が高まり、IQなども下がるという報告もあります。

円満な家庭よりIQが10ポイントほど低いという報告もあります)

子どもは両親の不仲を見るだけで脳に悪影響がもたらされ、DVなどの現場を見ると脳が萎縮することもあります。

また、離婚が発達障害のリスクになることも昔から知られています。

さらに、離婚後のひとり親育児もADHDの可能性を高めるというデータもあります。

加えて、ADHDの子どもが夫婦間の不仲や離婚の要因になることも否めません。

もちろん、いろいろな事情があると思いますが、データがあるのでご紹介しました。

⑩子どもの食事も大切

「魚を食べると頭がよくなる」など聞いたことがある方も多いと思いますが、食事は子どもの脳の発達に影響を与えます。

ここでは要点だけお伝えしますが、

✓ お米(白米でOK)

✓ お魚(魚類)

この2つを日々の食事で子どもに食べさせるようにしましょう。

また、農薬などに晒された食べ物を定期的に摂取することで発達障害のリスクを高めることも指摘されています。

そのため、可能な範囲でそのような食べ物を避けることも大切になります。

ちなみに、箸を早めに使い始めさせることも脳の発達にプラスの影響を与えます。

(2歳程度から使い始めることをおすすめします。)

⑪スマホやタブレットを避ける

スマホやタブレットによるゲームは6歳までのお子さんにはすべて悪影響とされています。

(テレビゲームも含みます)

スマホやタブレットなどのゲームや映像はスピードが早すぎて、6歳までの子どもにとっては過刺激になり、脳を歪ませるリスクがあります。

そのため、このような過刺激を与えるデジタル機器の使用は、ADHDや自閉症スペクトラム症のリスクになる可能性があります。

また、テレビ番組の長時間視聴も同じように発達障害のリスクがあるとされています。

(ただ、TVは受け身なので、スマホやタブレットよりは影響が少ないとされています。)

※テレビは2時間未満が推奨されています。

⑫非科学的な幼児教育

発達障害は遺伝のリスク要因がなくても、環境次第で作られてしまうことがあります。

そして、その原因となるのが非科学的な幼児教育です。

たとえば、英語の早期教育。

海外に在住しているご家庭は別ですが、日本在住の子どもの場合、3歳までは母子のコミュニケーションを大事にして、自然と日本語を習得していくことが推奨されています。

言語や脳の言語野は3歳までに急速に発展します。

そのタイミングで文法的に異なる英語を中途半端に聞いてしまったり、英語のDVD教材に子どもを長時間さらすことで、言語の発達に障害がでるリスクがあります。

また、一時期話題となった幼児教育メソッドのひとつ「フラッシュカード」も脳の発達によくない影響を与えるという報告が最近では見られるようになってきます。

欧米などでは科学的な幼児教育が研究されていますが、日本ではどうしても経験則やエビデンスがないものが多くあります。

このような非科学的な幼児教育によって、走り回ったり、落ち着きがなくなり、キレやすくなったりなど発達障害的な症状が見られるようになることがあります。

そのため、発達障害が日々の幼児教育でつくられる危険性があることも理解しておくことが大切です。

さいごに

ここまで発達障害のリスクになる12の要因について、なるべく具体的に解説してきました。

正直、ここでご紹介したものをすべて完璧に対策することはむずかしいと思います。

でも、1つか2つ、もしくはそれ以上、対策できるものもあると思います。

そのため、まずはご自身で可能なものから始めていきましょう!

また、このような対策をしっかりとしても、発達障害を発症する可能性はあります。

ですが、脳の発達上、8歳までに適切な脳のトレーニングをすることで、発達障害の症状を改善することも可能です。

ですので、ここまで発達障害の原因となる得るものを解説してきましたが、発達障害が仮にお子さんのみられたとしても「なんとかなる」ということもしっかりと覚えておいていただけますと幸いです。

ただ、今回ご紹介したものはお子さんの脳の発達をより良くするのに有効なものもあるので、実践できるものからやってみてくださいね!